色覚異常と診断された方のための詳しい説明を掲載したブログを作成してあります。
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色覚異常とは

色覚異常のイメージ画像

色覚異常は大きく分けて先天性の色覚異常と後天性の色覚異常に分類されます。後天性の色覚異常は病気によるものですが、先天性の色覚異常は遺伝によるものです。
日本人の男性の5%、女性の0.2%に発現します。色覚異常は昔は色盲と言われたもので、白と黒しか見えないと誤解されがちですが、実際は見分けにくい種類の色があるだけです。
先天色覚異常は二種類あり、1型と2型に分類されます(3型もありますが、極めて稀です)。
見分けにくい色は主に以下のようになります。

1型と2型の見分けにくい色はほぼ同じですが、1型は赤が暗く見えるという特徴があります。
色覚異常があると学校で赤チョークが見えにくかったり、教材に見分けにくい色の組み合わせがあるので親や学校の配慮が求められます。
また、以前は職業に就くのに制限はありましたが、今では緩和されています。しかし、飛行機のパイロットや電車の運転士など、特定の職業に就くのに制限がありますので、職業選択に際して注意が必要です。

色覚異常の検査を受けた方がいい理由

色覚異常があることを周囲の大人が知らないと、子供が色で間違えた場合、真面目にやっていないと勘違いして叱ってしまいます。
例えば社会の白地図を黄緑で塗るように指示をされたのに、オレンジ色に塗ってしまう場合があります。本人は色を見分けられなくていたために違う色を塗ってしまったので決して不真面目ではないのです。
そのような間違いと叱責を繰り返すと本人が自信を失ってしまう場合もあります。それを防ぐためにも色覚検査を勧めます
また、前述したように一部の職業の選択に際して制限があります。制限がなくても色覚異常の程度によって仕事を続けるのが難しい職種もあります。職業選択を考える上でも検査が必要です。

色覚異常の検査、診察について

  • 15分ほどで終わる検査で、薬剤などは一切使いません。
  • 色覚異常の検査は個室で行います。お子さんの場合、希望によって、保護者同伴でも一人でも検査を受けられます。
  • 色覚異常があるか否かは早い年齢でわかります。おおむね4-5歳から検査は可能です。ただ、正確な型、程度はある程度の年齢にならないとわからないので、小学校高学年以降に再検査を受けることを勧めます。
  • 検査の後、色覚異常があるとわかった場合、その後の診察で詳しい説明があります。わからないことがあったらどんなことでも質問してください。
  • 検査も診察もプライバシーを考慮して行います。
  • 色覚異常の検査は予約で行っています。

※来院前に電話を入れていいただけるとご都合のいい時間に予約を取れます。

色覚異常の検査の種類について

➀スクリーニング(色覚異常があるか否か)の検査

  • 石原式色覚検査表
  • 東医大式色覚検査表
  • 標準色覚検査表

以上の3種類の検査表を用います。

石原式色覚検査表の例
石原式色覚検査表の例
東医大式色覚検査表の例
東医大式色覚検査表の例
標準色覚検査表の例
標準色覚検査表の例

(※写真はコピーなので実際の色合いと少し異なります)

どれも色の中の色で描かれた数字を読むだけの検査で、色覚異常があるかどうかが確実にわかります。数字を読めるお子さんなら検査が可能ですが、数字を理解できない幼いお子さんでも検査ができる表もあります。
診断書が必要な場合、また、希望する場合は以下の検査も行います。

➁色相配列検査パネルD-15

色相配列検査パネルD-15

15色の色を並べて型と程度を判断します。

➂アノマロスコープ

アノマロスコープ

型と程度が正確にわかります。難しい検査なので、幼いお子さんは理解できにくいという欠点があります。

眼科を受診してもらう際の眼科側の目標

患者さんに眼科を受診してもらう際の眼科側の目標は以下のようにあるべきだと思います。

  1. 患者さんに検査を行い、色覚異常か否か正確な診断を行う
  2. 色覚異常に対する正確な知識を持ってもらう
  3. 対処方法を覚えてもらう
    • 日常生活での対処法
    • 色覚異常の子供の育て方
    • 学校で先生にどう対応してもらうか
    • 将来の職業選択の心得、また、実際の仕事での工夫の方法
  4. 色覚異常という事実を前向きにとらえてもらう

単に診断しただけでは、患者さんは「眼科を受診したその日から苦しみが始まった」という状態になります。でも適切な説明をすれば、「眼科を受診したおかげで前向きに明るくなった」という状態になれます。色覚異常の患者さんが前向きになれるように当院は頑張りたいと思います。